平助と町

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―――京の町――― お日様が、空の真上に射している しかし、お日様の光がいき届かない 薄暗い路地裏で私は、浪士達に囲まれていた。 私は、浪士達をグルリッと見渡してから、大きく息を吸い込み、空に向かってこう叫んだ。 「チビ藤堂の馬鹿野郎ぉぉ!!」 私の声が、京の町に響き渡った。 ことの発端は、数時間前にさかのぼる。 ――――――――――― 「チビィ...暇だから町に出てみねぇ?」 「おい...この状況を見て言ってんのか?チビ」 廊下の雑巾掛けをしている私に対して、平助は縁側に座って空を眺めていた。 「あぁー...暇だよぉ。チビィ、俺 暇過ぎて死にそう」 「それで死ねるなら死んでくれ。つか、退いてくれない?」 雑巾掛けを邪魔をするかのように、平助は廊下に寝転ぶ。 このまま、その顔面を雑巾掛けしてやろうと考える。 「よし!!チビ、町に行くぞ!!」 「だから、私は忙し「関係ない!!行く!!」 私の言葉を遮りやがったと思えば、平助は私の手をグイグイと引っ張る。 また、面倒事が起こりそうだ。  
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