プロローグ

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. 卒業証書をパイプ椅子の下に置き、私は隣を見て返事をした。 「新居が他のクラスだったら、大役できたのにね。」 「いや、俺は遠慮しとくわ。」 「えー。オイシイ役回りだよ?」 「どこが? 面倒じゃん。」 私と新居は、高校三年間ずっと同じクラスで、出席番号も1番2番を陣取っていた。 特別に仲が良いわけではなかったが、さすがに三年も顔を合わせていると、そこからは自然と会話が生まれてくる。 「新居と顔を合わせるのも、今日で最後かあ。」 式の途中で、退屈さに耐え切れなくなった私は、周りには聞こえないくらいの小声で隣に話しかける。 「……何か、変な感じだな。」 まだ自覚のない卒業式に対して、私が思っていたことと同じ言葉を、新居は口にする。 そして私は、三年間の高校生活を少し振り返ってみた。 「新居とは、ずっと同じクラスだったもんね。」 .
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