第一章

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「野村さん終わりました。」 目の前の仕事が終わってすぐさま班長の野村さんに報告する。 野村さんは一度顔を上げるとニコリと微笑みながら自分の手を止めた。 「お疲れ様。雪奈ちゃん。長いこと集中して疲れたでしょ?もう外は暗いしそろそろ帰っていいわ。」 と言うと野村さんは私から離れると、戸棚から何かを持って来てくれた。袋からは甘い匂いがする。 「それでこれは今日頑張ってくれたご褒美。あまり自信ないけど、食べてね。後ゆっくり休むこと。」 中にはチョコブラウニ―が入っていた。 「わぁ~ありがとうございます♪でも本当に帰っていいんですか?」 おそるおそる私は尋ねた。すると野村さんは優しく微笑みながら、 「あなたは毎回残ってくれるから私としては助かるけどあまりにも頑張るのはよくないわ。だから今日は残りは気にせずゆっくり休んでね」 と言って肩に手をポンとのせてくれた。確かにここ最近は毎日残業をしているせいか体がキシキシと痛んで仕方ない。ここは言われた通りにするのが筋だろう (はあ~。野村さんは優しいな~) 「それじゃあ今日はお言葉に甘えてお先失礼します」 「ええ。お疲れ様」
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