序章

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むかしむかし、あるところに、とても美しく聡明なお姫様がいました。お姫様は人々の事を大事にしていたので、みんなから親しまれていました。 けれどある日、そんなお姫様を手に入れようとする悪者が現れました。 ひとり、ふたり、お姫様を狙う悪者はどんどん増えていきます。 人々はお姫様を護るため、天にも届く高い塔を造り上げ、そこにお姫様を閉じ込めました。 それは人々が良かれと思ってしたことでしたが、お姫様はとても嘆き哀しみました。 塔があまりにも高すぎて、誰も逢いに来てくれないからです。お姫様は、独りぼっちで泣いて暮らす日々が続きました。 何年か経って、お姫様が閉じ込められている塔にひとりの男が現れました。 人々はお姫様を護るため、男を追い払おうとしました。けれど、男はこう言ったのです。 「こんな誰にも上れないような塔に閉じ込めて、これではまるで姫が悪者のようではありませんか」 その言葉に、人々はハッとしたのです。
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