Hのクスリ

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P氏は一度家に帰ってから、 考えた。 クスリの量がきっと 足りないのだろう! 長きに渡って慮った結果だ。 P氏はクスリを戸棚から 取り出すと、大量に手に取り、 ありとあらゆるところに塗った。 首元、 胸、 手首、 さらにはなんと陰部にまで、 P氏はクスリを塗り手繰った。 満足そうな顔をしてP氏は 外に飛び出した。 すると、近づいてきたのは 女性ではなく、F博士だった。 一瞬ドキッとした P氏であったが、 平然を装ってF博士に聞いた。 「どうかしたのかい」 するとF博士は答えた。 「Pくん、ピンク色のクスリを 知らないかい」 P氏は一番疑われない 答え方をした。 「ごめん、さっきまで寝てたから 何とも言えない……」 そうか、と困惑した表情で 焦るF博士。 するとF博士はこう続けた。 「ボクは昔から不潔だろう? だから毎晩寝るときにハエが ボクの周りを飛び交って うるさくてしようがないんだよね。 そこでボクは、最も強力な ハエ取りクスリを作ろうと思って 先程、ハエを大量に 捕まえてから、フェロモンと 強力な殺虫剤をを 搾り取ってペーストに したんだけどさぁ……。 ちなみにそのクスリを入れた ビンにはきちんと《ハエ》の 頭文字である《H》を 書いといたんだ。 ちょっと目を離した隙に 猫かなにかにとられてしまって。 まぁ、どうせ猫の体中にハエが こびりつくだけだから いいんだけどね。 全部使ったりなんかしたら 一生落ちないかもね(笑)」 そういうとF博士は どうも引き止めて悪かったね、 といってその場を後にした。 ―終― 。
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