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もちろん、今日まで粘って今更売りに出たくない。
『まじっスか、嫌なんスけど』
千佳さんが、凄く優しく囁いてくる。
『稼がせて上げるから。終わったらご飯休憩取って良いし』
『イヤっス。つか、ご飯休憩は普通に下さい』
肩から手を太股に置き直された
『大学の教授だぞ?』
『が、なんスか?』
『チップ、凄いよ』
『……行くっス』
チップ。これがバカにならない。
と、言っても時代はバブル弾けた直後。1万円が、この時点では最高額だったけど
チップで+1万円なら良くない?
でも、って事は高級なホテルなんだろうなぁって。
遠いんだよね。有名所のホテルってさ。
『場所はね、ちょっと分かりにくいんだけどさ…』
千佳さんは地図を書いてくれた。
ありゃ?花園神社の辺り。
ホテルも普通は二丁目の周辺のモノを使う。
たまにビジネスホテルなんかもあるけど
その両方とも当てはまらない、歌舞伎町の近くの神社辺りだった。
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