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アンナは思い出した。景が、大切な人を電魔に殺されたと言っていた事を…そして、悟った。いままでの戦いで、必死に自分を護ってくれたのは…『その人』の為だったのだと。
景「どうしたの。なんか…変な事言ったかな?」
アンナ「なんでもない…それより…正直、朝から晩まで一緒にいられちゃ、迷惑なの」
景は、頭をかいた。
景「まぁ…そうだよね。でも、アンナさんにもしもの事があったら…」
アンナは、景を睨み付けた。その目には、涙が浮かんでいた。
アンナ「大切な人を、蘇らせられなくなるものね!景さんにとって…私は道具でしかないんでしょ?」
すぐに否定しようとした景だったが、声が出なかった。アンナは、走り去ってしまった。
景の携帯電話が、銀色に光り、マルコが現われた。
マルコ「…追わないのですか?」
景「……」
黙って立ち尽くす景。沈黙のまま、時が過ぎる。うつむく景に、マルコは優しい声で言った。
マルコ「アンナ様は…マスターに、好意を持っているのでは?」
景は、マルコの言葉を聞いてキョトンとしている。
マルコ「拙者、マスターだけではなく『雪様』にも、色々と教えていただいております故…なんとなく、分かるのです」
景「仮に、もしそうだとしても…僕には雪さんが…」
マルコ「今は、アンナ様にマスターがどのような気持ちで接しているのか…お伝えしてみては?」
景は、しばらく考えてから、走りだした。マルコも、景の背中を見て、走りだした。
すでに、街へと辿り着いたアンナは、街頭に備え付けられた大型テレビジョンを見て、驚愕した。
ニュースキャスター「大変です!H市の大富豪『金串様』の屋敷が、化物に…化物に襲われています!警官隊からも、すでに死傷者が多数…」
テレビ画面には、魚のような姿の電魔と、手が剣になっている電魔が映しだされている。
アンナ「あれは…電魔!?」
携帯電話から、アスの声が聞こえる。
アス「ずいぶん、派手に暴れてるわね~まぁ、我らには関係ないわよねぇ?」
アンナは…以前、景がアスモダイという電魔に襲われている人達を、助けに行った事を思い出していた。
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