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「ここ…?」
「…相澤先輩の家だ。まあ正確には相澤先輩夫婦の家。…半年前にたまたま見かけて興味本意で後をつけたら見つけた。」
遊里と旦那の家…?
俺に幸せな家庭を見ろとでも言うのか?
無性にムカついて携帯を閉じた。
篤は深いため息をつき、立ち上がる。
「夏休みはまだ一週間ある。…決着つけろよ。お前が男なら、な。」
言って、篤は帰って行った。
…きっと…きっとエリはすぐ戻ってくるさ。
明日になれば今までみたいにメールしてきて…。
「っ…」
そう考えてまた涙が溢れてきた。
…違う。
今までどんな事をしてもエリが別れを口に出す事なんてなかった。
そして、あんな風に俺を睨んだり、叩いたりする事も。
今までとは違うんだ。
俺はエリを…一番酷いやり方で傷つけたんだ――――。
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