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光があるところに必ず影はある。
それはつまり
影があるところに必ず光はある。
ということなのだろうか。
ならば、光と影は常に一心同体なのだろうか。
答えはノーだ。
光が消えてしまえば影も消えてしまう。だが影の心臓に杭を打とうとも光は消えない。
光は絶大にして影を操れる。
これが世の定め。
「だから消えて朽ち果てる運命にある貴様はここで死ぬべきなのだ」
そう、生きる資格のないものは影。その光を消され存在がなかったことになるのが世の決まり。
全ては光に溶けてしまう。
全ては光に溶けるが命。
「そんなこと、させない」
一対の光陰は混じることなく激突し、世界に異変をもたらす新たな切っ掛けとなる。
何かを感じる。目の前は真っ暗なのに、物凄く…何かを感じる。
これは痛み?そうだ、私は痛がっている。それも全身痛い。
「っ痛…!」
その痛みはやがて全身を電撃のように駆け巡りはじめ私の意識を覚醒させる。
目を見開くと、そこに広がる光景は一面の赤。赤というよりは紅という方が近いかもしれない。
これは何か洒落ているのだろうか?とにかく、私はここに見覚えがない。
「どこ…ここ…?」
ふかふかベッドが私を眠りの世界へと誘うが、とにかく身体中がイテェから寝れるわけがない。
体が言うことを聞かないほど痛む。誰かが治療してくれたのか、私の体は包帯に巻かれている。つまりそれほど重傷だったのだろう。
動こうなどと考えるのはまた後にしよう、そうしよう。
とにかく、ここはどこなんだろう?
家具の装飾はどれも豪華で紅色のものが多い。ここの主は赤いのが好きで好きで仕方ないのだろうか。
冷静になれ、現状を見て得れるものが少なすぎるからとパニくるな、私。
ここに来る前は何をしていた?
ここに来る…前?
まて、私はどこにいた?何かをしていた?私はどこで生まれた?私は何歳?私の友達は誰?
わたしはだれ?
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