第1章

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 私には大好きなお婆ちゃんがいました。家に一人で居ることの多かった私に、優しくしてくれたお婆ちゃん。お婆ちゃんは私の家の隣に住んでいました。お婆ちゃんは一人暮らしで、戦争で夫を亡くし、子供もいませんでした。なので私の事を自分の孫の用に優しくしてくれました。私は優しいお婆ちゃんが大好きでした。  ある日、お婆ちゃんの顔に黒い靄がかかって見えなくなりました。お婆ちゃんは靄に気付かずに温かいお茶を啜っていました。次の日、お婆ちゃんの顔はまっ黒になって固くなっていました。動かないお婆ちゃんを見て私は救急車を呼びました。  お婆ちゃんは死にました。  お婆ちゃんのお葬式は、近所の人だけでしました。近所に住む人がお婆ちゃんの家族だったようです。向かいに住むおばさんはお婆ちゃんをいつも気にかけていてくれていたみたいです。おばさんはお婆ちゃんを見て、綺麗な顔で眠っていると泣きながら笑った。けれど私にはお婆ちゃんの顔は真っ黒に映っていました。  葬式が終わって、火葬場にいる時におばさんに聞いてみました。 人は死んだら黒くなるの?  おばさんは首を傾けてしまいました。 あぁ、私だけか。  私は最後までお婆ちゃんの顔を見ることが出来ませんでした。
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