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「今夜ひま?」
「暇だけど」
………。
上田はなかなかの現代っ子だから返信が早い。
けれど今はメールのやり取りすら焦れったく感じる。
俺は携帯の着信履歴を開く。
一番最初にあって、それでいて表示されている名前で一番数が多い名前を迷わず選択する。
コール音が二回で止む。
「あっ、もしもし中丸?急に電話に変えんなよ」
「上田、ごめん。………あ、あのさ。」
「ん?」
「花火、行きたいんだろ?」
「まだ少し先だけどねー。中丸、行く?」
「今からしない?花火」
「はっ?…お前、明日の朝から生放送あるだろ」
「今から寝て、起きれる自信がねぇーの!」
「寝ないとテレビに出れない顔になんぞ?」
「お願いだって!上田がメールくれたのもそういう運命なんだって!」
今頃、上田はどんな運命だよって心の中で悪態をついているだろう。
「………。俺が運転するから、お前は寝てろよ?」
「マジ?サンキュー!」
「んじゃ早く来いよ?早く来ないと寝てやる!」
「わかりました。じゃ、また後で」
携帯を切った時には俺は既に車の鍵を掴んで部屋から出ていた。
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