ギルド登録&殺し屋認定

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 どちらが″簡単そうか″を2人を1秒で見極め、俺は自分から見て右端に佇む門番に近付いた。 「ようこそ、王都【シアランザ】へ。旅の方ですか?」  俺に気が付いた彼はこちらを笑顔で丁寧に出迎えてくれた。明らかに俺が年下だと分かっていても、礼儀正しいこの対応は好感度を上げる。 「えぇ、そうです。実は僕の村では16歳にならないと村から一切出られない決まりがありまして。要するにそれまでギルド登録が出来ず……。ですのでまずは王都にてギルド登録をすべく王都に出向いた次第です」  善人であろう相手に嘘をつくのは若干気が引けるが、ここを抜ける為に演技タイム。  俺の話を聞いた門番は驚いた声を漏らしたが、直ぐに何故かうっすら涙を浮かべた目で見つめ返してきた。 「そのような村があるのですか。16歳になるまで出られないなんて、今までお出掛け等が出来なくて辛かったでしょう……」  ……何故か効果が抜群すぎた為、引き攣った顔が表に出そうになる。  そんな葛藤を露知らず、門番は懐から小さな鍵を取り出した。 「では今から門を開けますので、私についてきてください」  涙ぐんだ目を指で擦ると、ニコリと笑みを浮かべて歩き出す。  門番が俺に背を向けたことで妙な葛藤は直ぐに消えたが、代わりに今の言葉で気になる部分があった。  ……門、ね。 「勿論、このような巨大な門が開く訳ではないですよね?」  尋ねてみれば、彼の顔だけがこちらに振り返り、申し訳なさそうに頭を下げた。 「残念ながら。正門の横にある小さな門からとなっております。すみません」 「いえ。謝ることじゃないです。ではどのような時に?」 「主にはこの国の象徴である心優しい国王様が通る時ですね。……後は貴族様が通る時です」  質問に丁寧に答えてくれたが、後半は人が変わったように淡々とした口調だった。  たったこれだけで、貴族が平民にどのような印象を受けているのか予想がつく。  ……王様も、な。  一言礼を述べ、俺は今の言葉から考えられる国の状況を思い浮かべていると、門の前に着いたようだ。
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