モノクロの記憶

3/3
531人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
まぶしい程の逆光の中に、1人立ち尽くす小さなシルエット。 俺は空中から俯瞰している。 少しづつシルエットに近づいて行くと・・・ 逆光の中から現れる小さな影は3歳の時の俺。 その顔は、泣き出しそうにも見えるし、笑っているようにも見える。 右手には30cm程の鉄の棒を握り締めている。 足元には、血だらけの頭を抱えた2つ上の兄貴がうずくまっている。 親父が何かを叫びながら兄貴を抱き起こそうとしている。 お袋は慌ててどこかへ電話をかけている。 3歳の俺はつっ立ったまま、その光景をただ見つめている。 怖いのか、悲しいのか。 まさか嬉しい? もしかして、俺はとんでもない代物(シロモノ)を手に入れたんじゃないのか?・・・      『暴 力』 .
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!