序章

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 20XX年 1月1日 AM2:00  日本の湾岸都市『海頼(うみより)』のすぐ側にある『海頼海』の浜辺。  人類が新しい年を迎えて、2時間が経った。現在の時刻はいわゆる丑三つ時。日本では古来から魔物などが往来すると言われている時間帯。  海岸には波の寄せる音だけが響いて真っ暗で、人っ子一人いない淋しい光景だった……。だった、はずだった――。  ―ボウッ……―  一瞬だった、海面で光が瞬いた。いや、一瞬だけではなかった。つぎの瞬間には海面のいたる面が輝き始める。  そして、青い光が水飛沫と共に輝く海面から飛び出し、砂地に着地する。 『……』  纏う青い光が水飛沫のように飛び散り、あたりは再び暗い闇に飲まれていきそして、一つの人影だけが残った。  人影の形は暗闇で見えない。が、次の瞬間、瞳が見開くかの様に大きな二つのオレンジの瞳に光が灯るのだった――。 ―― ―――    
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