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「おいおいおい、きたねーオッサンだな」
「うわ、くさっ! 近寄るとマジやべえ!」
不意に、俺の周りを若者が取り囲む。
男が二人、女が一人。
髪の毛は染められていて、軽薄そうな服装をしている。
見るからに、俺のような人間をからかって楽しむタイプだ。
「おい、聞いてんのかよオッサン! あんた臭すぎて街の公害になってるっつってんだよ」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
詰め寄ってくる若者に、俺は地面に頭をこすりつけて謝罪する。
理不尽とか、プライドとか、そんなことを言っている場合ではないのだ。
こいつらがもし暴力を振るってきたら、弱り切った俺の体では、抵抗することもままならない。
自分の身を守るためには、全てに屈するしか無いのだ。
「なー、こいつ金投げてやると面白いんだぜ?」
不意に、男の一人が俺に百円玉を投げてくる。
「ほら、やれよ。いつもの奴」
「は、はい! ありがとうござぁ~い!」
俺が慌てて土下座をすると、若者達はどっと笑い出した。
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