君のいない日々

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「直ぐに着替えて準備する!」 踵を返し、慌ただしく更衣室へ急ぐ詩を見て友加は堪らず吹き出した。 先程までの不機嫌さは何処へやら。詩の脳内は今やアイスの事で一杯なようだ。 「……ま、元気なのが一番だしねぇ」 青く澄んだ瞳と金色に輝く癖毛のある長い髪。ハーフだが、見た目はほぼ外人と変わりない。日本人の血が本当に入ってるのかと疑いたくなる容姿を持つ。 容姿端麗、文武両道。 何に対してもそつ無くこなす詩に周囲は近付き辛い印象を受けるが、そんな事は全く無く誰とでも打ち解ける事が出来ていた。 友加とも入学時に意気投合し、親友として学校生活を共に楽しんでいる。 ガチャン、と鍵の施錠する音が聞こえたと思えば、詩は素早い動きで友加の隣に付いた。 「友加、友加っ」 制服に着替えた詩は友加に向かって徐に手を伸ばす。 それが何を求めているのか友加は直ぐに察し、小さく息を吐いた。 「そんなにアイス食べたいんかい……」 余程急いで着替えたのだろう。制服のボタンは外され、胸元に広がるスカーフは派手に曲がっていた。
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