ひよと王子様。

新しい生活へ

彼は意味ありげな言葉を発し、通話を切る。そうして、あの悪魔の笑みを浮かべる。

「これから面白くなりそうだ」

独り言を呟き、2人のもとへゆっくりと向かう。

黒塗りのｾﾀﾞﾝの車はゆっくりと道路を走る。後部席から窓の外を眺めている陽代へ、兵堂は口を開く。

「今までにも紹介者はいたのですが、すぐ辞めてしまって。どうも担当部署があわないようでしてね。限界だと言って怒った方もいますし」

「そうなんですか…」

「あなたなら大丈夫そうなので、安心してます」

にっこりと一笑され、ﾊｱと答える。