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~ある春の日~
『本日は雲一つない空で暖かい一日となるでしょう』
「じゃ、行ってます。」
「行ってらっしゃい。…今日は早く帰って来なさいね。」
「?…分かった。」
私は玄関を飛び出て車庫から自転車を取りだす。
PM:7:30
家を出て、いつもの十字路で犬のタロとおばさんにあいさつ。それと父
さんにあいさつをする。
去年の秋。豪雨の中、脇道から飛び
出てきたバイクを避ける為にハンドルをきって電柱に突っ込んでしまっ
た。豪雨だった為か、救急車が遅れ
て病院に着いた時は息を引き取って
いた。その日から毎日、学校に行く
時は必ず寄って行く。
『父さん、行ってます。』
「ひーめ。おはよ。」
「絢ちゃん。おはよ。」
小林 絢音(こばやし あやね)
同じクラスで私の大親友。幼稚園の
時からずっと一緒だ。
「今日って、転校生がくる日だよね?あきら、早く行ったけど姫はいいの?」
「会長が…?多分、大丈夫でしょう。」
岩本 あきら(いわもと あきら)
生徒会執行部の13期生徒会長。絢
ちゃんとは幼馴染み。
私たちが通っている私立「望星蘭学園」は幼?小?中?高?大とエスカレーター式の学校で、すべて同じ敷
地の中にある。学園の中だけで、生活が成り立つぐらい広い。
「チップカードの発行手続きでも手伝ってるんじゃない?ややこしいから。」
「そうだね、行こうか。早くしないと間に合わなくなるわ。」
高等部は学園内でも、門から一番遠い位置にある。だから、30分前に門に入らなければ遅刻してしまう。
PM:8:00
~キーンコーンカーン~
「ギリッギリ、間に合ったわね…。自転車を入れたかっただけなのに、あのロボットのせいだ(怒)」
「まぁまぁ、間に合ったんだから。落ち着いて…絢ちゃん。」
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