第一話・好転なのか、なんなんだ?

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「ちょっと待って」 「逃げるな、どうせ逃げ場なんてないんだからな」 俺は逃げていた、何故逃げているのかもわからない。 けど逃げなきゃいけない。 本能がそう言うからだ、少し怖いからか。 「捕まえた、何故逃げた?」 「何故、捕まえた?」 「逃げるからだろ?」 いやそうだけど……だが俺は至って冷静だ、今だってそうだからこそ逃げた。 勿論目の前の女の子を知っている、でも親しくもなければ話すらしたことがない。 橘桃香、頭が良くて運動神経抜群、お金持ち、生徒会長。 完璧だ、顔だっていい。 しかしキチキチしすぎて無口なところやお堅いイメージから男子からの人気は皆無だ、というか背が高いすぎるからか、いやつり目でなんだか平時でも圧迫されてる気がするからか。 「なら逃げないから家に帰してください」 「断る、何故ならお前は私を助けた、その姿に一目惚れだ、つまりフォーリンラブだ」 俺より十センチほど背が高い、俺は百七十はあるからな。 髪が長くつり目で整った顔立ちだ。 唇はきっと柔らかいな、プルプルしてるし…けど他に栄養がいったせいか胸は結構残念。 観察はこのぐらいにしよう、それより昨日を思い出してみよう、どこかに間違いがあったか。
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