母の死…

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「あなたはこのメッセージを見るでしょうか。 かなりの間ログインしていないあなたはこの「マイフォトグラフ」が閉鎖されることは知っているでしょうか。 閉鎖されれば、当然、このメッセージも見られなくなります。 どうか、1日も早く、僕を思い出し、このメッセージを見て欲しい。 君がこれを読んでくれていると信じ、これからが本題になります。 これを書いているのは、会長婦人、つまり君の母上のお通夜から帰ってきてからです。 僕は今日の朝まで、あの日のままの想いでいた。 しかし、お通夜の席に君と隣に座るご主人と二人の息子さんを見て、何かを望んでいる自分が情けなくなった。 君が僕を覚えていてくれて、また会いたいとどこかで願っていてくれているんじゃないかと、いつもそんなことを考えていた。 それでも、今日、君が妻であり、母であり、その上会長のお嬢様であると言うことを痛いほど感じ、僕は僕の想いは君のためにはならないと悟った。 特に去年の出来事を誰かに知られるわけにはいかない。 このメッセージで、今までの二人と決別しなければならない。 好都合と言うか、ここも閉鎖されるわけだ。 今後、連絡を取れる術は残されていない。 もし、何かが僕の味方をしてくれるとしたら、君がまたカワセミの写真を撮り始めてくれることだろう。 また、去年のように偶然並んでカワセミを撮れたら、どんなに幸せだろう。 それは、僕の夢のまた夢だ。 どうか、このメッセージを読んで欲しい。 そして、いつか、友達として、どこで会えることを願っている」
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