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俺は今、衝撃な事実を耳にした。
世間話でもするかのようにさらっと告げられたため、脳内の処理が一瞬追いつかなかった。
俺をそんな事態に追い詰めた元凶は、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「ちょっ!
待って母さん!」
弾けるように立ち上がり、母さんの後を追いかける。
言及しようとしたが、
「あ、兄上。
お母さんとの話は終わったようですね」
「ま、まぁな」
白い肌。整った顔立ち。栗色の髪が美しく日に輝いている我が妹がそこにいた。
俺と母さんが出て来るのを見計らっていたかのようなタイミングだ。
実際そうなのかもしれないが、クールな深雪が本当の事を言うわけない。
自分の中で勝手に解釈することにした。
「お母さん、今日は何時までいるんですか?」
「ごめんね、深雪。
仕事が入っちゃったから、もう行かなくちゃいけないの」
「そうですか……」
あまり感情を表にしない妹が露骨に残念な表情になった。
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