27才

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荼毘に付され、骨壺に入れられた雪花を両手で抱えながら、俺は車が到着するまでの間、少し親族達から離れた。 …………真夏に喪服は、暑い。 俺は額に滲んでくる汗を拭いながら、目の前に立つ大きな木を見上げた。 シャンシャンシャン、と耳障りな程、蝉が鳴き喚いている。 (…………るせーな) そう思いながらも、俺はその鳴き声がなんだか切なかった。 ………蝉って、成虫になってから一週間ぐらいしか生きられないんだっけ? て、ことは。 その一週間の間に子孫を残さないといけない訳で。 (………そりゃ必死で鳴き喚くわな。……誰だって、子孫は残したい訳だし……) 妙な物思いに耽っていると。 背後から上着をつん、と引っ張られた。 我に返って振り返ると、低い位置に子供の頭があった。 いつの間に側にいたのか、陸が俺の上着の裾を掴んで、じっと俺を見上げていた。 「………おじちゃ、大丈夫?」 首を傾げて少し不安げにそう尋ねる陸に、俺は笑って頷いた。 陸の目線に合わせて膝を折る。 「…………大丈夫だよ」 ポン、と頭に手を乗せてそう言うと。 陸はふにゃ、と半ベソになった。 「………でも……おねーちゃ、死んじゃったんでしょ」 「………………」 5才の子供が『死』というものをどれ程理解できているのかはわからなかったけど。 二度と雪花に会えないことだけは、わかっているみたいだった。  
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