宮下桜、経済学部3年

6/10
932人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
さすがにまだ春休み中の大学だ。人が全然いない。 たまに目に入るのはレクリエーションを受けている入学したばかりの新入生だ。 用事だけさっさと済ませようと足速に学生課へと向かう。 「すいません。 昨日連絡を頂いて、朝9時にここに来るように言われたんですが?」 学生課受付に座るお姉さんはパソコンで何やら確認すると、 「本人確認を致しますので学生証もしくは身分証明書はお持ちですか?」 なんて、聞いて来る。 一体何の為に本人確認が必要なんだ? 少しおかなしいな。とは思ったが素直に学生証を提示する。 「あら?」 俺の学生証を見た受付のお姉さんは、学生証と俺を見比べながら素っ頓狂な声を上げる。 「ミス早應の宮下さんじゃないの!?」 「あ、どうも!」 照れ隠しで頭を掻きながら会釈をすると、学生課の奥にある事務室へと通される。 「いやぁ、宮下さんとは聞いてたけど、この宮下さんだったとはねぇ! あ、中でお客様が待ってますんで詳しいお話は中の人に聞いて下さい。」
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!