月詩~TSUKI no UTA~

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「透子に変わってくれるかしら?」 そんな高士に追い討ちを駆ける義母の能天気な口調に、「あっいや、透子は出掛けてて…。」と、歯切れ悪く答える。 そんなんじゃ、義母に気付かれてしまう。 高士は大きく息を吸い、細く吐いた。 「…そう、じゃあさっきも言ったけど、白菜ね取りに来てちょうだい。そう透子にも言っといてね。」 「ありがとうございますお義母さん。透子にも伝えておきます。」 いつもの口調で言えただろうか? きっと大丈夫だろう。 自分に自問自答し、そのまま受話器を置こうと耳から離すと、 「ねぇ高士さん?」義母の訝しむ声が受話器から聞こえた。
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