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まあ、考えてみよう。なんで俺はこんなところにいるんだっけ? と。
そう、『私はだぁれ? ここは何処?』的な。
あれ? なんでだ? なんでだっけ……?
思い当たる節が全然…………ありまくりだよね!!
確かアレは二年前の春だったか。
底辺高校(笑)を一年生の終わりに退学になった俺は、生活をするために、職探しをしようと街に出てきてたんだ。
街に出てきてみたものの、底辺高校(笑)中退野郎の俺なんかにある職なんてたかがしれていて、高額賃金を狙うなら臓器売買とか殺し屋とか盗人くらいしかなかったんだ。
とりあえず、ハローワークで紹介された、ひたすら壁のシワを数える仕事(時給1000G、初心者大歓迎(笑))の面接でも行こうかなと、貰った地図を片手に、明らかに治安が心配になりそうな細い路地裏を歩いている時だったんだ。
「あの人なんていいんじゃな~い?」
と、背後から女の声がした。
俺は一種の身の危険を感じた。まさかカツアゲだろうか?
それに対し、
「えー、あの人強いかな?」
と若い男の声。
アカン、命の危機。
「だってあの人、“高校中退して職探しに来ててみたものの見つからないから、ハローワークに行ってみたけど、意味不明な職を教えられたけど、でももしかしたらこれは天職なんじゃないか、と淡く哀しい期待を胸にこんな路地裏を歩いているんです”的な感じするもの~。
あーゆーのは喉から手が出るほどお金が欲しいんだから、お金さえチラつかせれば、必死になって働いてくれるわよ~」
女の言葉がピンポイントに俺の胸に突き刺さる。ハートブレイクしそうだ。
「でもあの人、強いとは限らないでしょ」
「いいえ、たとえ弱くても生活が懸かってるんだから、背水の陣で臨んで、会心の一撃を連発するとかいう奇跡を見せてくれるわよ~」
「なるほどー、じゃあ早速誘ってみようか」
「ええ、そうしましょう」
……肯定する二人の声が聞こえた時、俺は奇跡のスタートダッシュをみせた。
これはヤバイ。そう俺の本能が告げている。
脊髄反射。俺は振り返ることなく、というより一度も背後の二人(?)を見ることもないまま全力失踪した、若干涙目で。
ふっ、これならついて来れまい(キラーン)。
そして俺は路地裏を駆け抜けたんだ……。
さて、なんということでしょう。
……俺は囲まれていた。あの二人(?)とは違う、怖い人たちに。
俺、この戦闘が終わったら、就職するんだ……。
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