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影二つ
夢を語った友がいた。
こんな風に、昼と夜が混じり合う黄昏の時。
長く伸びる影を二つ見ながら、永遠と語り合った。
都会にでて、大物になって、結婚して子供を作って、そしたら田舎に戻って両親と一緒に暮らす。
そんな…
たわいもない夢を語った。
でもそんなたわいもなさが、いまはひどく懐かしい。
歩くと一緒に動く影。
うん、次の休みは田舎に帰ろう。
久しぶりにのんびりしよう。
家の前で手を振る影が見える。
ついでに報告しよう。
「お帰りなさい、あなた。」
最近できた彼女と、籍をいれるつもりだと。
「ただいま。」
家の前。
伸びる影二つ。
それは何気ない幸せの証。
懐かしくて、どこか切ない。
ー郷愁の思い。
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