シンデレラ

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 むかしむかしある所に、毎日継母に苛められ、辛い思いをしている、シンデレラという少女がおりました。  それを可哀相に思った魔法使いのおばあさんは、ネズミを馬に、カボチャを馬車に、そしてボロボロの服をドレスに変え、こう言ったのです。 「今日はお城の舞踏会だよ。この姿で存分に楽しんでおいで。ただし……12時になったら魔法は切れるから、気をつけるんだよ。」  シンデレラは魔法使いのお婆さんにお礼を言うと、城に向かって馬車を走らせました。  舞踏会での一時はまるで夢のようでした。  王子様に見初められたシンデレラは、憧れの王子様を独り占めして、時を忘れて踊ります。  しかし、時計の針は容赦無く時を刻んでいました。 「いけない! もう帰らなくちゃ!」  時計の針が、もうすぐ12時を指そうとしている事に気付き、シンデレラが駆け出します。  王子様の制止を振り切り、赤いカーペットで彩られた階段を駆け降りるシンデレラ。  途中で、履いていたガラスの靴が片方脱げてしまいますが、気にしている余裕はありません。  シンデレラは慌てて馬車に飛び乗り、すぐさま馬に鞭を入れました。  ただひたすらに馬車を走らせ、やがて森の中に差し掛かった頃、12時を示す鐘が鳴り響きました――。  魔法が解け、馬はネズミに、ドレスはボロボロの服に…――そしてカボチャの馬車は、ただのカボチャになりました。  次の日、王子様はガラスの靴を国中の女に履かせ、昨日踊った美しい女性を探そうとしましたが、とうとう見つかる事はありませんでした。  それはさておき、森の中ではちょっとした騒ぎが起きていました。  なんでも、不気味なカボチャが見つかったそうです。  カボチャのてっぺんからは、手のような形の突起が空に向かって伸び、刻まれた皺は苦悶に歪んだ女の顔のようにも見えます。  まるで、女がカボチャの中から助けを求めているような、そんな形をしているカボチャでした。  そのあまりの不気味さに、悪魔のカボチャだと言われるようになったそのカボチャは、やがて教会で焼き払われました。  そのカボチャに刻まれた女の顔が、舞踏会の日から行方不明になっているシンデレラという汚ならしい女にそっくりだと言う事に気付いた人は、誰一人としておりませんでしたとさ。  めでたしめでたし
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