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阿波徳島の大名、蜂須賀家政。
彼はあの蜂須賀小六(正勝)の息子であり、また大の甘党であった。
その程度は、毎食後に欠かさずデザートを用意させるほど。
ある日、家政の近従である成海十左衛門が家政に呼ばれた。
十左衛門「殿、何の用ですか?」
家政「……手、出してみ?」
言われた通り十左衛門が両手を出すと、家政が豆餅をその手に置いた。
十左衛門(……あ、ラッキー♪)
と思いながら、十左衛門が手を下げると……。
家政「何じゃ、若いモンじゃからもっと喰うと思ったのに、一個しか喰わんのか。
……しょうがない、残りはワシが喰おう」
十左衛門(……ははぁ~ん……)
またある時、十左衛門が再び家政に呼ばれた。
家政「……手、出してみ?」
十左衛門(…………来た!!!!)
やはり、手の上には豆餅が一個置かれる。
まだ貰えるだろう、と十左衛門が手を出し続けていると……。
家政「……なんじゃ!!意地汚い奴じゃのう!!
残りはワシのモンじゃ!!誰にもやらんからな!!!!」
十左衛門「…………」
(そろそろ老人ホームか……?)
何で家政が二回目に怒ったのかは、十左衛門にも分からなかったとさ。
……ただ単に、老人の気まぐれじゃね?w
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