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顔の骨格も瞳の色も、ツンと跳ねた茶の前髪でさえもがロージと酷似している。
違うのは鋭利な犬歯と爪だけだった。
「お前…………生きて……!?」
最も驚愕したのはロージ本人だろう。自分がもう一人いるなど、まるでドッペルゲンガーと出会ったような気味の悪い感じだ。
だが、ロージはそれとは別件の事で驚いているように見える。
「ロージ!!戦闘態勢を解くな!!」
ロージは自身が気づかぬうちに両の拳を下ろしていた。そして目を見開き、大口を開けて呆然としている。
そんな彼に俺の激は聞こえず、結果、女にフランク同様、ロージの腹を貫かれた。
肉が抉られる音、苦痛の弱い叫び、力無く落とす膝、噴き出す血糊。
それらが俺の眼前で起きていた。
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