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聞きたくもない音と共に腕は引き抜かれる。女はベットリと付着したロージの血糊を美味しそうに舐めていた。
「ごめんねボクの“トモダチ”。ボク達はもう少しで目覚めるトモダチに会いに行くんだ。もう行くね……」
尖った犬歯を見せながら微笑したフィアはそれだけを言い残し、軽やかに崩れかけた二階へと飛躍した。
女もそれに続く。
「フィア!待て!!」
斬撃を放とうと思ったが、体がどうも上手に動かない。それに足がヒンヤリしている。
何故だと疑問に感じた俺は足下を見てみると、女の氷結晶が気づかぬうちに足枷のように動きを封じていた。
ラインもレーテも然り、フィア達を攻撃する事は叶わない。
やっと、やっと見つけたというのに。あいつを殺すことが俺の目的だというのに。
俺は声にならない叫びで悔いた。
フィア達が背を見せると、俺の叫びはどんどん増していく。いっそのこと足を斬ってしまおうかとまで考えていた。
その時だった。
「待てよ……!アウラ……!!!!」
腹から口から血が噴き出しても、意識が
定まらない中でも、ロージは譫言(うわごと)のように口を開いた。
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