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というわけで、亮のクラスに来てみた。 …………。 なんというか……うん……あれだ。 女子の数が半端ではない。 教室の中ではほとんどの女子が亮を所望しているせいで、我が親友は多忙、他の男子は暇そうにしていた。 女子は数少ない男子客の接客をしている。 「む? 道守か、何の用だ?」 入り口で立ち尽くしているオレに気付き、銀縁眼鏡の真面目そうな生徒が近づいてきた。 というか、痴漢騒動の翌日にお世話になった桐原和樹である。 「桐原、いや、ちょっと亮の様子を見に来たんだが……」 「ご覧の通り、霜月は暇がない。あいつの休憩時間を想像すると、背筋が凍る」 抑揚の薄い固い声色で、憂鬱そうな桐原が言う。 続いて漏れた彼の息には、彼の心境が顕著に表れている。 「桐原には、客来ないのか?」 「生徒会の連中が来た。あと、会長が一人で」 「あれ? 桐原って会長 と仲いいのか?」 正直、色彩高校の生徒会長をオレはあまり存じていない。 「ん……まぁ、そうだな」 途端に歯切れが悪くなる桐原。 あれ? ひょっとして、会長と副会長は結構親しい間柄ですか? 「と言っても、幼稚園の頃からの幼なじみだ。家が隣同士でな」 ほぅ……。 桐原もオレと鈴と同じか。 まぁ、互いの好感度は違うのだろうが。 「用が無いのなら、邪魔だから帰ってもらいたいのだが?」 「ん、ああ、悪かったな」 無表情の桐原に言われ、踵を返す。 ふと、訊いておきたいことが浮かび、首を捻る。 「そういえば、亮っていつから休憩?」 「一時間後だ」 「ん、わかった」 ありがとう、と言い残し、今度こそオレは亮のクラスを後にした。
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