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「…………。
残酷だけど、きっと交渉の条件に出してくるわ。
そういう奴なのよ、彼女は。
………ゆうちゃんが首を縦にふらないと、美羚を芸能界から追放するとか…言い出すわね」
「……っ!」
……俺のせいで…美羚さんが………やっぱり俺は…
どこにいても疫病神にしかならない…
思い出すのは…
冷たい瞳
嫌悪感
憎悪
脳裏に過るのは…
俺を忌み嫌う『あの人達』の眼差し。
伸ばされた血だらけの手…
『アンタが死ねばよかったのに』
『疫病神』
『人殺し!』
『―――…を返して!』
『二度と私達の前に現れないで!』
「………っ…」
「!ゆうちゃんっ!?」
頭が割れそうな程響いてくる、俺を否定する言葉や瞳に目眩がして…
ロッカーに凭れるように崩れる身体を、ママさんが抱きとめてくれたけど…
ママさんの声も何処か遠くに聞こえた…
………気づいたら
自分が何処にいるのか、一瞬わからなかった。
小さく聞こえる賑やかな声や、見慣れた室内に…
やっと、ここがお店の二階だとわかった。
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