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愛くるしい笑みを浮かべ、キュウべぇはバイクの上に移る。
「ボクらの目的はこの世界で起こる全ての悲劇を駆逐すること。そして来るべき時の為、この町にいる魔法少女達の魔女化を防ぎきる……ムチャクチャな上に無謀すぎる」
『成功の可能性は限りなく低い。けど、やる前から諦めたくない。僕には、そうしなきゃいけない責任がある』
「その責任というのは、彼女のことかい?」
重々しく語られた言葉にキュウべぇは訊う。
『…僕は、何も知らなかった。自分がいくつもの犠牲の上で生きてるってこと。何より、近くにいながらその苦しみに気づいてあげられなかった…』
「仕方ないさ。その頃のきみはまだ幼すぎる。仮に理解できたとして、なんの力も持たないきみには何もできない」
『けど、僕は今こうしてここにいる。…今度は、僕が…』
「それが、きみの望みかい?……ファイズ」
『そうさ。だから、きみにも手伝ってもらうよ。インキュベーター』
ファイズと呼ばれた少年は再びバイクに跨って走り出す。
全ての悲劇を駆逐する。その言葉が意味する先に待つ結末を心で描きながら……。
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