1.先輩の呼び名

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「んっ」 「空愛‥ 俺より格好いい?」 「う、うん‥」 「ふぅーん? じゃあ、優しくするのはやめようかな」 「へっ?」 空愛がその言葉にポカンとしていると、目の前に鳴海の顔が接近してきていた。 「や、やだ‥」 「一回したら嫌じゃなくなるよ」 「鳴海くん、やめよう?」 「そんな顔されたら余計したいけどな?」 鳴海はフッと笑うと、空愛のおでこに軽くキスしてから解放する。 「鳴海‥ やっぱりお前、腹黒いんだな」 「おや。 茜くんに見つかっちゃったね」 「ソラ。 授業行けるか?」 「う、うん‥」 空愛の手を茜が優しく握ると、空愛は何だかホッとしてきた。 「ふぅーん? 空愛って茜くんには無防備なんだね」 「鳴海‥ 今度ソラに変なことするようなら、許さねーからな」 「覚えておくよ」 鳴海はフッと微笑むと、茜と空愛を残して先に教室へと戻っていった。 「ソラ、大丈夫か?」 「藤ちゃん‥ 鳴海くんが私を気になるって言ったの」 「まあ、それは分かってたから‥ 俺はお前らが2人っきりにならないように守ろうって考えてたんだけど?」 「そーだったの?」 「俺もソラが好きだし、他の奴からも守らないと危ねーからな」 「でも、藤ちゃんも2人っきりになったらキスとかするかもじゃない?」 「うっ‥ それはわかんねーから」 「じゃあ、あんまり近づくの禁止ね?」 空愛は慌てた様子で手を離すと、茜との距離を置いた。 「な、何かそれあからさま」 「だって‥ 藤ちゃんの隣は安心するけど、やっぱり男だし」 「うむ。 それは変えらんないしな」 茜が残念そうにそう告げると、空愛は時計を見ては慌てた。 「ふ、藤ちゃん! 授業始まる」 「急ぐか」 「うんっ」 空愛は茜が手を伸ばしてくる為、無意識にギュッと繋いで一緒に廊下を走る。 教室前に着くと、茜はフッと微笑むとこう空愛の耳元に囁く。 「ソラ、手を繋いでるの気づいてる?」 「へっ? あっ‥」 空愛は無意識に繋いでる事に驚いて、パッと手を引き離した。
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