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「俺が初めて魔界に来たとき、語りかけてくれたのは、アリオンの所まで導いてくれたのは、お前だな?」
「そうだよ」
ツバサはケロッとして頷いた。
「アリオンが、復元状態を維持していたのも、ツバサか?」
「うん。私の力でどうにか、知哉が来るまで復元状態を保ってたんだ。それで、近くに知哉が来たのを感じたから、呼びかけたってわけ」
俺のために、そこまでしてくれてたのか。
あのとき、俺はまだ魔法が使える状況ではなかった。
ツバサがアリオンの元まで導いてくれていなかったら、アリオンを復元状態で維持してくれてなかったら、最悪死んでいただろう。
「もしかして、この間の、薬物組織の時に、アリオンが復元しなかったのって……」
「ああ!!あれ!!」
俺が思い出しながら呟くと、ツバサは眉を上げて怒ったように口を曲げた。
「そうだよあの時!!知哉薬のせいで暴走なんかしちゃってさ!!もう大変だったんだよ!?流れてくる魔力を必死に押さえつけてアリオンが復元しないように抑え込んで!!薬のせいもあったけど、相手を斬り殺してもいいとか思ってたでしょ!?私がどうにかしてなかったら何人死亡者が出たかわからないんだからね!!」
ツバサは本気で怒っているらしく、噛みつかんばかりの勢いで叫んでいる。
「あの時はホント助かりました。いや、マジですいませんでした」
片手で頭を押さえながら、ツバサの剣幕にぺこぺこと頭を下げる。
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