二十四

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「俺達を引き裂く相手が居ないって思ったんだ。それで、叶を幕末に送ったわけ。だけど、俺の思い違いだったけどな」 「思い違い?」 「あぁ、居たんだよ。でも、叶が、額田が居なかったから出会って無かったんだ。だけど、叶が来て出会ったよ。思いもしない相手だったけどね。それで、疑問が生まれた」 海が言葉を切って、私の顔をじっと見る。 「叶には、難しいか?」 もう訳が分からない、何が疑問なの? 「俺と中大兄が居るのに、叶が居なかった。変だろ?」 そう言われれば、そうだ。 「何で、私が居ないの?」 「なぁ、神様が叶を転生させる事を忘れると思うか?そんな失敗しないだろう」 転生させては、引き裂いてきた神様が忘れる事なんて無いと思う。 「忘れ無いと思うけど、なんで?」 「多分、神様は俺達を許すかどうか悩んで、最後に試したんだと俺は思う。それに神様は、俺や額田だけに怒りを感じていた訳じゃないと思う。中大兄皇子にも、兄にも怒りを向けて居たんだろう。だから、額田の居ない世界で、辛い運命を与え、拠り所の欲しい環境で、一人に耐えれるか、他の女に心を移す事が無いか、本当に俺達にとって額田が唯一人の女なのかをね」 .
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