5909人が本棚に入れています
本棚に追加
/494ページ
「もう、姫織ってば泣きすぎじゃない。お兄ちゃんに会えたのがそんなに嬉しいの?」
「と、当然ですっ。………あぅ、旦那様、もっと気持ちを込めて撫で撫でして下さいまし…」
「…………」
無言で姫織の頭をワシャワシャ撫でると、姫織は目元を緩ませて泣く事をやめ始めた。
だが、それを見て溜め息をつく、ありすと姫織。
「…甘えん坊さんなの? 姫織は」
「うん、家じゃ大抵こんな感じかなあ」
半目で聞く結乃の質問に、ありすが両手をお手上げのポーズを取って答えるありす。
だが、そんな中、1人。
俺と姫織の光景を見ながら、睨むようにして感情を露わにする人物が居た。
「………あの、秋斗様。つかぬ事をお聞きしますが、今、頭を撫でておられる彼女は誰ですか?」
「ん、ああ、紹介がまだだったか? コイツは姫織。俺ん家のメイドだよ」
「…はっ?」
俺が淡々とリンスレットさんの質問に答えると、リンスレットさんは目を見開き、驚きを隠せない表情で俺を見つめてアワアワ慌てだした。
なんだ、無表情な人だと思ってたが、こんな表情も出来たんだな。
「…あ、秋斗様のメイド?」
「…ぐず、わ、私に何かご用ですか?」
と、姫織も反応する。
するとリンスレットさんは。
「…こ」
「こ?」
「こ、このーーーーーー。う、浮気者ぉっ!!」
「…え?」
と、途端に叫び声を上げたリンスレットさん。
その光景に、俺達4人は呆然とリンスレットさんを見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!