クライアント

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クライアント

「ハァ~」 ため息しか出ない。 何社に面接へ行ったのだろう。 今年の3月から開始した就活は6月末になってもひとつも内定無し。 「ハァ~」 また、ため息。 土井利彦は22歳になった。三流大学の4年生。 何がやりたい、何に成りたい、何の希望もなく、ただ時間に流されていた。 アパートのガス台の前でお湯が沸くのを待った。 背中にテレビドラマのテーマ曲が流れだした。 「始まったか。」 カップラーメンに沸いたお湯を注ぐ。 バイトへ行く前の腹ごしらえだった。 毎週バイトへ行く前に見ている大河ドラマ。 「また戦国時代か。やっぱ俺は暴れん坊将軍だな。」 ラーメンをズルズルとすすり始めた。 「俺はずっと討ち死にだよ。まったく。」 テレビに向かって呟いた。
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