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「き……貴様、何なんだその動きは!? なんという名の剣術なんだ!? いや……一体どの国の……」
「僕が会話する事で休ませると思ったか?」
戦いで相手がよろめいたからと言って油断してはならない。勝ち負けが確定するまで、相手が降参するまで攻め続ける。
英雄グラウスがまだよろめいている間に僕は刺してあった剣を抜き取り、そのまま走って英雄グラウスの胴の布地の部分を斬りつけた。
「ぐああああああ!」
「まだだ……!」
「何故……何故新兵ごときがそこまでの力を……!?」
「黙れ……黙れ……黙れぇぇぇぇええ!」
僕は動きの鈍った英雄グラウスを何度も斬りつけた。何回斬ったかわからない程に……
「うがああああああ!」
途中、何度も対抗して闇雲に剣を振り回してきたりもしたが、剣で受け止めるまでも無く全て回避し、途中で傷口に殴打を入れながら斬りつけ続けた。
鎧を装着していたため、攻撃する部分は限られていたが、それでも途中で耐え切れなくなった英雄グラウスは遂に地面に倒れる。
「ぐ……馬鹿な……俺がこうもあっさり?」
「……まだ休ませる訳ないだろ」
倒れた英雄グラウスに対し、僕は傷口めがけてかかと落としを喰らわせようと右足を垂直に上げる。
「……俺が剣豪ならば、お前は剣聖だな……まるで剣が当たらない。何者だ……貴様? この国の……人間じゃないな」
「僕は只の高校生だ」
その言葉と共に、あげた右足を一気に降下させる。
「駄目ですシンドウ!」
だが降下させると同時に皇女エミリスの声が響き、英雄グラウスの傷口めがけて落としていた足を別の何もない地面へと落とした。
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