第五項目 僕がそんなの認めない

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「人じゃないお前が言っても説得力ないね」 「な……速!? ぐあっ!」 「お前の武器は剣だけだ、一度攻撃を外せば攻撃手段が無くなる」  インファイト。英雄グラウスの背後に回り、視界外から至近距離で殴打を打ち込む。  剣を振って当てるにもある程度ちょっとした距離が必要だ。最近剣を使っていてわかったが、超至近距離の相手に剣はあまり通用しない。  届かないし自分にも危険があるし……何より力を込める事が出来ないからだ。 「このおおおお! いつまでも調子に乗るなよ小僧!」 「それは……僕の台詞なんだよ……!」  力が入らないという事は剣に重みが無くなるという事だ、今英雄グラウスが強引に剣で僕を刺そうとしたが、僕が握ってあるだけの剣で簡単に受け止められる。 「な……馬鹿な!?」  重みがない、だから剣で受け止められるし、変な体制で強引に僕を攻撃しようとしたため大きな隙も生まれる。 「強さってのはそれぞれでジャンル分けされてる事を……覚えとけ!」  受けた剣をそのまま下に流し、そのまま勢い良く地面に自分の剣を刺すと僕は地面を蹴って上に飛んだ。  今なら届く、かつてない程の体の軽さがそう僕に教えてくれた。 「な……放せ! 貴様……何をするつもり……!?」  飛んだ後英雄グラウスの両肩を掴み、そこを力点にして英雄グラウスの肩を地にして一瞬垂直に逆立ち状態になる。  その時点で肩から手を放して英雄グラウスの顔を掴み、そのまま勢い良く降下して顔を下に運びつつ、降下の勢いで威力を増した膝を英雄グラウスの顔面に叩きつけた。 「つ……ぐぁ!」  顔に膝を打ち込んだ時に来た反動の衝撃を利用して後ろに下がって地面に上手く着地する。  その後すぐ顔をやられて腰の低い体制で怯んでいる英雄グラウスに間髪入れず接近し、低い体勢を取ってから顔面を飛ぶように蹴り上げる。 「鎧なんて着けてても、着けてない部位を攻めれば意味を成さない、重いだけだ」  あらゆる体勢から力と重みのある攻撃を出せるカポエイラだから出来る攻撃の連撃。  ほとんど顔狙いで危険だから誰にも今まで使えない技だったけど……この相手になら遠慮なんていらない
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