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「死ねぇっ!」
「黙れ」
どこからともなく現れる白装束の男の顔面を殴りつけると、風船が弾けるように頭を吹き飛ばした
「んー……」
恋たちを向かわせ、掃除をしながら進んでいるはずだと言うのに、白い奴らはいなくなる気配がない
殺した分だけ湧いて出てきているんじゃないかと錯覚に陥りそうになる
おまけに
「諸悪のこんげ……っ!」
また現れた奴の頭を殴って“割る”
その感触ではなく、殺したという実感を確かめるが、いまいち欲が満たされる感じがしない
「んー……」
こいつら、人じゃないんじゃねえか?
そんな考えが脳裏をよぎったが意味のない思考だ
早いとこ三人に追いつくために、白い連中を無視して速度を上げた
「……Ah?」
暫く進んでようやく追い付いたが、様子がおかしい
三人が横に並び、何かを見つめている
白い奴らもなりを潜め、やけに静かだと思ったが
「裏切り者!」
そんなことはなかったようだ
「Hey、何事だ?」
「あ、正明様」
前にいた愛連が避けると、少女が少女を庇うように立ち、その後ろにえらく綺麗な女が無表情でこちらを伺っている
「その、話を聞いてもらえなくて……」
「聞く訳ないじゃない! どうせ月を捕まえに来たんでしょ! 絶対に月は渡さないんだから!」
眼鏡をかけた少女が董卓を庇っているのか
なら、気弱そうなのが董卓?
これが暴君と呼ばれるとは正しく世も末か
「どうせ逃げたっていずれ殺されるんだ。早い方がマシだろう? それともお前、まさか逃げきれると思ってんのか?」
「逃げきってみせるわよ!」
「Crazy…」
どこからそんな自信が湧いてくんだ
無茶苦茶だ
「おい、お前軍師か?」
「それがどうしたって言うのよ」
「死んだ方がマシだな」
冷たい声色で言い放つ
少女は目を見開き、俺の言葉を反芻しているようだ
「正明殿――」
「Shut up! …次口を挟もうってんなら舌を引っこ抜くぜ…?」
すぐに華雄は黙った
「どういう意味よ……!」
ショックだったのだろうが、どうにか持ち直して質問してきた
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