第一章 分岐点

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ともあれ、もうそろそろ式が始まる時間だ。それを証明するように、多くの生徒達が移動を始めている。 ちなみに全員が一年生だ。二年生は逆に東宮で合宿で、三年生は普通に夏休み中。 やっぱり三年生になると忙しいのか、と将来に対して憂鬱になりながらも、荷物と共に歩を進め、B組の列に合流する。 並びは出席番号順で、壇上に向かって男女二列。 しかし俺達一年生が固まっているのは、壇上から体育館を二分した右サイドだけ。 空いた左サイドには恐らく、いや確実に東宮の一年生が並ぶ空間だろう。 などと、推測していると、壇上に学年主任の先生が立った。五十代の眼鏡の女の先生で、やたら厳しいことで有名。 こういう、いかにもテンションが上がり(俺を除く。ここ重要)、そわそわした場を引き締めるにはピッタリの先生だ。 ということは、諸注意や式の説明だろう。 予想通り、マイクとスピーカーを通して、延々と注意事項や式の進め方などが説明されていく。 もちろん、事務的な内容だけでなく、「今日はいつもより騒がしい」といった毒も含まれていた。
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