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あれから一年、オレは車を止めてフロントガラス越しに空に向かって静かに黙祷をした。
今日の空は澄んでいる。
優しい陽射しと運転席から舞い込む首筋を流れる風の感覚は、小春日和という温かい言葉がピッタリだった。
一年前の空はどうだったのだろうか。記憶を辿りながら空に向かって眉を細めていた。
澄んでいたのか、雲に被われていたのか、あの日オレは空を見上げたのだろうか……。
たどり着いた記憶は曖昧のままそこでストップした。
いや、見上げる余裕など無かった。
今、黙祷をした時と同じように頭の中は闇だった。
こんな仕打ち……、
……、ありなのか。
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