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えぐえぐと篠を抱えたまま今にも涙腺崩壊を起こしそうな俺が近付こうとすれば、生徒指導と体育教師がすかさず俺を遮った。 「日向先生、コイツに近づくのは危ないです!」 「そうですよ、なんて言ってもあの野蛮で悪名名高い涼谷ですからね!全く、仲がいいはずの辰川まで襲うとは不愉快極まりないですな!」 俺の事を危険だの犯罪者だのと言う他の教師の言葉に思わず唇を噛み怒りに震えた。 だがそれにも構わずに日向先生は俺の元に真っ直ぐ向かってくると喚いている教師達に「黙りなさい」と一喝し、また俺に向き直った。 「涼谷、大丈夫か?」 「うん…俺は平気だけど篠ちゃんが……。」 いつでも優しい先生が、いきなり厳しい声で一喝して驚いたけど、それより俺は先生が同僚の教師どもの言葉より俺を優先し信じてくれたのが嬉しくて。 それがさらに俺の涙腺にトドメをさして、ボロボロと泣きだしながら先生に未だに抱えたままだった篠を示した。 「そうだな。話は後で聞くから、ちょっとその辺に座って待っててくれ。」 先生は泣き出した俺に少し戸惑ったような顔をしながら篠に視線を落とすと頷き、俺から篠を受け取るとすぐに近くのベッドに向い保健医に協力と手当てを願い出た。 俺は先生の言うとおりに大人しく先生や保健医が篠の体に手当てしたり他の教師達が話し合うのを眺めながら静かに待った。  
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