奪う女・留美

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その時、一緒に招待されていたのが沙織と遥子。 私は卒業してから奈緒美以外とは交流がなかったけれど、約10年ぶりに再会した同窓生との話は弾んだ。 特に沙織とは連絡先まで交換し合い、披露宴から数日のうちに二人で会ったのだ。 お酒を飲みながら大人の女同士がお互い本音で語り合って。 沙織は孝一との甘い同棲生活を惚気ながらも、将来に対する不安を打ち明けた。 「プロポーズしてくれれば、いつでも受けるんだけどな」 「シナリオの夢はね……今はプロットライターしてて企画書は書かせてもらってるの。単発ドラマなら採用されてドラマになったこともあるわ。でもね、シナリオはまだ書かせてもらえない。有名な脚本家に回されちゃう」 沙織の不安や愚痴を聞きながら、私も自分の悩みを打ち明ける。 「夜の仕事はもう辞めたいの。もうすぐ29だし堅実な昼の仕事に就きたいわ。でも、私なんか雇ってくれる会社ないと思うし」 「恋人は……二ヶ月前に別れたわ。不倫だったし無理だったの」 気づくと私たちは話に夢中で終電さえ逃していた。 こうなったらとことん話そうと、始発時刻まで二人で飲み明かした。
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