金髪碧眼で変装しているならそれはもう王道くんでいいだろう。

8/9
298人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
  王道くん、まだまだ距離があるけど、だんだん素直になってくれると可愛いな。 なんだか弟ができた気分だ、なんて思っていると玄関のチャイムが鳴った。王道くんは全く出る気のない様子だ。 「なあ、もし俺の知り合いだったら部屋に上げても大丈夫か?」 「...気を遣わないで、ください...。自室に戻ってます...。」 そう言って王道くんは自室に戻っていってしまった。王道くんも一緒に、と思ったけど流石にそれはまだ無理か。 玄関に向かいドアスコープから誰が来たのか確認する。...と、そこには約1年ぶりに見る懐かしい顔。 「純っ!?」 「おう!あま...ね...?」 目を見開きつっ立っている、俺の親友で腐レンドの山本純。俺を腐男子にした張本人だ。純とは中学まで公立校で一緒だったが、進学して以来、メールや電話でしか言葉を交わしていなかった。 「おま...どうしたんだよ。何か悩みとか...」 これなんてデジャヴ。 「え、もしや最中?偽チャラ男腐男子総受け真っ最中なのか?ていうかお前、チャラ男がキャラだってバレてるんなら早く報告しろよ。今日お前の親衛隊に聞いてびっくりしたわ。自分で演技完璧とか言ってたくせに全然とか、ハッ。でも萌えたけど。ご飯3杯いけるけど。あ、メイド服ごちでーす!!」 ...純の最後の言葉に我に返った俺は、急いで純を部屋に引き入れる。俺が今着ている服のことを完全に忘れていた。幸い通りかかる人は一人もおらず、難を逃れた。 しかしこの腐男子に見られてしまうとは。死にたい。  
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!