スノーフェイス

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.  直樹はイベントの仕事をしていたから、毎年クリスマスの日は会えなかった。  だって、クリスマスはイベントの王様……、クリスマスに大好きな直樹に会えないのは寂しかったけど、次の日に二人だけのクリスマスを二人で過ごせるから、それはそれで幸せを感じていた。 「もしもし」 「仕事終わったの?」  地下鉄の改札を通り抜けた時に、母から電話が入った。 「うん終わったよ。丁度電車に乗るところ、どうしたの?」 「父さんが会社でクリスマスケーキを貰ってきて、二人じゃ食べきれないから、食べに来ない?」  私に予定がないと知ってる母からの誘いの電話だった。  実家は私が降りる駅から三つ先の駅の近くだったし、母の察しの通り予定はなかったので、クリスマスケーキをご馳走になる事にした。  地下鉄に乗り込んで、実家に向かった。  電車が駅に到着して扉が開く度に、仲睦まじいカップルが目に飛び込んでくる。  そんな光景をやり過ごしながら、二日後に会う直樹の事を考えていた。 「クリスマスプレゼント、喜んでくれるといいなぁ」 .
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