プロローグ

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遠くからバイク音が響いて昇が振り向く。 昇はこっちこっちと片手を上げてバイクを誘導し、近づいてくる人に向かって笑いかけている。 私はただじっとその様子を見ていたの。 バイクに跨ったその人は、エンジンを切ってグローブを外して。 「洋、急に呼び出して悪いな」 …ヨウ。 その名前で私の心の片隅が悲鳴を上げた。 だって… その名前と同じ人を私も知っているから。 ヘルメットを外してくしゃくしゃになった髪を気にして。 ジーンズのベルトループに下げた帽子を頭に被って顔を上げた。 その顔、見覚えがある。 わたしの心臓が高鳴った。 まさか…。 遠い記憶が呼び起される。 あの一途な思い。 もう、会わないと思ってたのに…
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