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人生なんて今まで考えた事はなかった。
だって、俺はまだ17だし親に甘えていてもいい歳だろ?
といっても、両親は昔から仲が悪く、俺の記憶では喧嘩をしているイメージしかない。
子供の頃は、それがすごく嫌だったけど、さすがに毎日見ていると……ね
諦めと言うか、もう勝手にしろよ!みないな感じになって、親の愛情とか求めてはいけないんだな~と思い込むようになっていた。
だから早く卒業して家を出て仕事を見つけて一人暮らしをして、愛する人を見つけて……幸せな温かい家庭を作りたい……それが俺の夢だった。
自分でも感心してるんだ。
よく、ぐれなかったよなぁ~って……
最悪の家庭環境だったけど、俺には友達がいたから何とか今まで頑張れたんだ。
血の繋がっている親よりも、他人の友達の方が俺には必要だった。
テストで100点を取った時、俺は嬉しくて母親にテスト用紙を見せた。
もしかしたら褒めてくれるかも……ってね。
でも、母親には逆に「大きな声で騒がないで!」と、俺は怒られた。
だから勉強で頑張る事も諦めた。
でも、友達はそのテスト用紙をみて、めちゃくちゃ褒めてくれた。
まるで自分の事のように……
褒めて、喜んでくれたんだ。
だから俺は、学校が大好きだった。
放課後は毎日、暗くなるまで友達と教室で遊んでいた。
とても楽しかった。
とても………
「今日は面白い本持ってきたんだ」
「まじ?どんな本?」
「んとね、呪い……」
「ちょ、なんだよそれ~」
「あははっ、とにかく読んでみようよ」
「だな」
呪い……
もしそんな事が本当に出来るのなら、俺は誰を呪おうか?
「蘭、もうすぐ着くから起きなさい」
夢は残酷だ。
俺の幸せまであっさり奪ってしまう。
車の窓から見える景色は、初めて見る景色だった。
ビルしか見た事のない俺にとって、緑の景色が逆に心を落ち込ませた。
やはり夢じゃなかった。
本当に俺は引っ越してしまうんだ。
ホントに大人は勝手だ。
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