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しばらく歩くと 臣さんは突然立ち止まった お店だろうか? 看板も何もない 手を引かれ中に入ると どうやら服屋のようだ 数種類の服が並んでいる 「ここ…は?」 「俺が手掛けた。と言っても 資金を提供しただけだが… ここのオーナーは 俺の恩師なんだ」 臣さんはそう言って 懐かしげに目を細めた 「四十万くん?」 奥から男性が2人 40代くらいの男性と 30代くらいの男性が出てきた 「宇奈月さん」 宇奈月さんと呼ばれ 顔を上げた男性に 違和感を感じる 「椿、 こちらがこの店のオーナーの 宇奈月さん その隣が宇奈月さんの 秘書兼ヘルパーの 巳波さんだ」 「ヘルパーさん?」 「宇奈月さんは 目が見えねぇんだ。 宇奈月さん、巳波さん こいつは椿です」 紹介されオレは2人に 頭をさげる あぁ…感じた違和感は 瞳だったのか どこか遠くを見ているような 色を映さない瞳 その瞳はどこか寂しげだ 「今日は奥様は?」 「今丁度出掛けたところだよ」 臣さんは店内を歩いて回り 何着か服を選ぶ その中の一着をオレに渡し 「着てみろ」 と言う 「椿さん…だったかな? 着てみてくれないか? なぜだろう 初めて会った気がしない」 宇奈月さんはオレに笑いかける オレもこの人に懐かしさを 感じていた しかし会った事はないはず ここで今初めて 会ったはずなのに なんだろう… この感覚… オレはこの人を知っている…? .
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